人種差別とニュージーランド先住民族の話

 

 

人種差別はなぜ起こったのか?

 

人種差別について

「人種ごとに遺伝的な差異があり、それが知能や気質にも影響している」

この世界には人種差別というものがあり、昔からこう考えられてきました。

 

“後進国であるアフリカ人よりも、先進国のヨーロッパ人の方が知能が高い”という考え方が一般的で、アメリカの白人心理学者たちは「白人は有色民族よりも知能が高い」ということを示そうと何年も研究を重ねてきました。

しかし、現在でもその研究は成功しておらず、それどころか最近は「人種によって知能に格差はない」ということがわかってきました。

人種差別や地域格差を生み出したのは、もともとは地理的な問題だったのです。

 

NZの原住民マオリ族とモリオリ族

「人種によって知能に格差はない」と考えられるひとつのきっかけになったのが、ニュージーランドの原住民のマオリ族とモリオリ族の話です。

 

200年ほど前まで、ニュージーランド北部にはマオリ族、ニュージーランド東部にあるチャタム諸島という離島にはモリオリ族という民族が住んでいました。

1835年、モリオリ族はマオリ族によって滅ぼされてしまいました。

 

モリオリ族もマオリ族も、先祖は同じポリネシア農耕民でした。

彼らは1,000年前にニュージーランドに植民した民族をマオリ族となり、チャタム諸島に植民した一部のマオリ族が、モリオリ族と呼ばれるようになりました。

そして彼らは何世紀にも渡り、独自の社会や文化を築き上げていきました。

 

 

マオリ族はニュージーランド北部の温暖な気候で農耕をはじめ、人口を増やし、農耕器具だけではなく武器や工芸品を発達させ、武力闘争に長けた社会を築きました。

 

それに対して、モリオリ族は狩猟民族に逆戻りするような生活に戻っていきました。

チャタム諸島は豊かな自然に恵まれ、高度な技術を必要とせずとも

2,000人ほどしか住めない小さな離島だったので、人々は仲良く平和に

争いを放棄し、音楽などの文化を築き、平和を愛する社会を築きました。

 

しかし、

単純な武器しか持ち合わせていなかったモリオリ族はマオリ族に敵うはずもなく、全滅してしまったのです。

 

同じ先祖にも関わらず、何世紀にも渡って異なる社会を形成してきました。

この結果が、「人種によって知能が異なる」のではなく「環境によって人種が形成される」ものだと考えられるきっかけになりました。

 

オーストラリアがイギリスの植民地になった理由

オーストラリアがイギリスの植民地になった理由も同じです。

 

かつて天候に恵まれないイギリスでは食料が不足し、生き延びるためには自分たちで食料を生み出す必要がありました。

イギリス人たちは農耕をするようになると文化が発達し、航海技術などのテクノロジーが生まれていったのです。

 

逆に、オーストラリアでは広大な土地に豊かな資源があったので、農耕をせずとも豊かに暮らしていくことができました。

自然と調和し、自由な時間を使って儀式や物語や音楽をた楽しんだ。

なので、音楽や詩などの文化は発達しましたが、「戦う」という

テクノロジーが発達したイギリスには敵うわけもなく、オーストラリアはイギリスの植民地になってしまったのです。

 

人種、DNAなどは実は何も関係ないのです。

 

 

【参考文献】

父が娘に語る経済の話 / ヤニス・バルファキス著、関美和訳
文庫 銃・病原菌・鉄 / ジャレド・ダイアモンド著

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